就活ヘアを“不自由”にしているのは誰か?

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就活ヘア

パンテーンの 「#就活をもっと自由に」が話題

パンテーンのプロモーションに付けられたハッシュタグ「#就活をもっと自由に」に様々な意見が集まっている。

そもそも、髪型にしぼったアンケート結果に対して、就活全体にかかるようなタグ名にしてるのには大きな違和感がある(話題を大きくするために、わざとやってるのだとは思うものの)。

まあそれはさておき、「就活ヘアをもっと自由にすべき」という主張は、「現状、就活ヘアは不自由だ」ということだと思うのだけれど、それは本当なんだろうか? 本当だとしたら、それは誰のせいなんだろうか?

就活ヘアに関して、不快な思いをしたことのある学生はいる

学生自身はなんて言ってるのか、調べるのは簡単でした。パンテーンさん自身が「#1000人の就活生のホンネ」なるコンテンツをアップしてたので。それによると、就活生の実に81%が、「自分の気持ちを偽り、企業に合わせた経験がある」と答えたのだとか。

1000の意見は全部公開されてるので、中身を読んで見たけれど、下記は確かに、企業側から不自由を強制されていますね。

就活生は前髪を伸ばす風潮があり、私自身は短いままにしていたら、面接官に「あなたは短いのね」と嫌味のように言われた。

前髪が長いことを就職先の社長に注意され、その場ですぐ直すように言われた。

真っ黒いシュシュでさえ外せと言われた。

#1000人の就活生のホンネ

でもそれ以外は自分自身の実体験に根ざしたものというよりは、「ダメって言われてるから従った」という忖度的なコメントが多いように思う。

企業側は髪型は気にしないと言っている

一方で、じゃあホントに企業は髪型を制限したいと考えているかというと、少なくとも表面的にはそんなことはなさそうだ。パンテーンは企業側にもアンケートを行っていて、それによると多くの企業は学生に“就活ヘア”を矯正したいとは考えていなさそう。

一方、半数近くの企業が「学生の面接時・内定式時の服装や髪」は「評価に影響しない」と回答。
また、服装や髪において、個性を出し、自社の面接を受けることに「賛成派」企業は71%

パンテーンの調査

もちろん、調査向けのリップサービスということは考えられる。回答者はおそらく採用担当者か広報担当者だろうから、ダイバーシティへの理解が比較的ある点も見逃せない。現場の面接官はもうちょっと意識が低いと考えたほうが良さそうではある。それを差し引いても、あらゆる企業が就活ヘアを求めているというわけではなさそうだ。

中小やベンチャーは、私服面接の企業も多い

アンケートだけでしゃべっても信憑性が低いので、具体例を挙げる。僕が前に所属した2社(中小出版社、ITベンチャー)の新卒採用は、基本的に私服面接だった。2社目のITベンチャーでは僕自身が学生との連絡役をしていた時期もあるが、できるだけ私服で来るようにお願いしていた(前後の予定でスーツを着る必要がある場合はスーツでもいいですよとお伝えしたいた)。

マスコミやITだからでしょ? と思うかも知れないけれど、中小やベンチャーに勤める人に話を聞いてみると、やはり私服推奨(または私服可)の企業が多い。

じゃあなぜ、就活ヘアは不自由なままなの?

学生の多くは、就活ヘアに辟易している。そして、企業の多くは、就活ヘアを求めていない。じゃあなんで、就活ヘアなる概念が、今もはびこり続けているのか? ざっと考えると以下の原因が思いつく。

  • 学生側の不要な忖度
  • 企業内の担当者間の意識の差
  • 第三者の的はずれなレクチャー
  • 社会が推奨する進路の同質性

それぞれ書いてみる

学生側の不要な忖度

学生が、必要以上に企業に気を使いすぎなんじゃないですかね。けどまあ、なかなか他のヘアスタイルを試せない気持ちは分かる。どんなに大丈夫っぽくても、万一大丈夫じゃなかったときの代償が大きいと、腰が引けるもんだもんな。特に、最初のひとりになるのは難しく、変わるのに十分な状況だとしても、きっかけがないと変わりはじめられない。
マーケティング的にいえばファーストペンギンを待っている状態、化学的にいえば過冷却状態ですね。

企業内の担当者間の意識の差

これは上でちょっと書いたけど、多くの担当者はOKって思ってても、一部の分からず屋が残ってるって場合。まあ歴史のある大手になると世代幅が広いし、そうでなくとも人の数が多いから、古い感性の持ち主もいるとは思う。
全員が全員、一気に変われるわけじゃなく、一時的に元のままの部分が残っちゃう。理系っぽくいうと、ばらつきですね。

第三者の的はずれなレクチャー

これは罪深いやつですね。就活ナビ系はじめメディアの就活マナー記事や、就活課の職員さん、あとは先輩や家族ですかね。彼らは彼らの経験をもとにアドバイスするけれど、その経験は更新されていないから、今とはどうしてもズレがある。結果、世の中の変化の速度を和らげる存在になっちゃってる。
化学風にいうとバッファー(緩衝材)、物理的にいえば空気抵抗ですね。

社会が推奨する進路の同質性

こういう進路(就職時期、就職先)がいいよっていうモデルケースが、実はものすごくせまい。個人的には、実はこれが大きいと思う。就活で同質性って話が出ると、「評価されるのは似たような学生ばっかりだ」的な議論が多いけど、実は同質化してるのは「理想の進路」のほうなんじゃないかなと。

上で書いたように、中小やベンチャーは髪型なんて気にしない会社が多いので、髪型変えたくないならそっち受ければいい。優秀だけど、髪型を変えたくない人たちがみんなそういう会社に行って、そこそこな人たちもそっちに憧れてってなれば、大手だって変わらざるを得ない。けど、なかなかそうはならない。なんでかっていうと、多くの学生が目指すのは「自分らしい髪型で就活してキラキラベンチャーに入社した人」じゃなく、「就活ヘアにして、財閥企業に入社した人」だから。髪型なんて自由でいいって言うくせに、「自由な髪型で就活してる他人」を内心で馬鹿にしたり胡散臭く感じたりしてる人いませんか? その感情こそ、就活ヘアを不自由にしてる要因ですよ

就活ヘアが不自由なのを、他人のせいだけにできる人はまずいない

とまあ、バラバラ書いたけれど、就活ヘアが不自由なのって、企業だけのせいでも、学生だけのせいでもないと思う。いろんなところに原因が潜んでいるので、誰かを攻めたり、恨み言を言ったりするんじゃなく、それぞれがすべきことを建設的に進めるしかないんじゃないかなあと、そんな風に思ったお話でした。

蛇足:自由な格好武勇伝にご注意を

twitterでこういう話題がトレンドに上がると、必ず破天荒武勇伝を語る人が出る。「オレは茶髪にストライプのスーツで云々」「私は金髪Tシャツだったけど云々」的な。ああいうの見るたび、脈絡ねえなあと思うのです。“自由に”は“自由な風貌でも不当な不利益を被らないように”であって、“自由にした人を高評価しよう”ではないはずなので。

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